ここがポイント
■ 通信速度のよくある注釈
■ 光回線がベストエフォートになる理由
■ 携帯電話がベストエフォートになる理由
■ ベストエフォートがあるから月額料金が安くなる
通信速度のよくある注釈
出典:ドコモ光ホームページ
光回線サービス、携帯会社のサービスともに、このような最大通信速度が明記されています。ただ、実行速度でこの通信速度はでることはまずありません。
ベストエフォートとは、サービス提供事業者が提示した最大通信速度を上限とし、最大限に努力した速度でインターネットに接続することを意味します。
通信速度の近くに小さな文字で書かれている注釈例がこちら。ベストフォート型サービスはなぜ最大通信速度が出ないのでしょうか。
通信会社サービスがベストエフォートになる理由
この記事での解説の前提は、こちらの図の赤い線から左側、通信会社の提供範囲のお話なります。
光回線を例とします。私たちへ光回線サービスを提供する際、通信会社はこのように一本一本光回線(光ファイバー)を引くでしょうか。
答えはNo。このような配線を行うと、莫大なコストがかかるうえ、配線の効率が悪くなります。
実際には、このように1本の光回線を分岐して利用者の自宅等へ配線します。まさに「木」のイメージ。太い幹があって、そこから枝へと分岐。その先にある葉っぱや花に木の根から養分を届けます。
キーワードは「シェア」。例示した1Gbpsの光回線サービスであれば、これを加入者でシェアして利用します。同じ道を複数の車が通れば、渋滞を引き起こすように、通信の世界も同じ利用者が同時に通信をすれば渋滞が発生、通信速度が遅くなります。
何人の利用者を一つの回線に収容するかどうかは事業者のサービス設計次第。シェアする利用者が多ければ多いほど、通信速度が遅くなる可能性があります。NTT東日本、NTT西日本の光回線の場合は、最大で32分岐される可能性があります。
携帯電話がベストエフォートになる理由
携帯電話がベストエフォートになる理由も光回線と同様です。キーワードはやはり「シェア」。
一つの基地局に対して複数台のスマートフォンが接続、同時に通信を行う場合は、やはり渋滞が起きて通信速度が低下します。
ベストエフォートがあるから月額料金が安くなる
ベストエフォートの仕組みだけを聞くと、けしからんと思う方もいるかもしれません。法人向けには、シェアを少なくして、通信の渋滞が発生しずらくするサービスも存在しますが、非常に高額です。安くても月額数万円はかかります。
しかし、このように1本の通信回線を複数人でシェアするからこそ、私たちは現在の月額料金で各種通信サービスを利用することができます。
問題なのは、カタログなどの表記です。最大通信速度を強くアピールすることは、こうしたベストフォートの事実を伏せ、利用者に誤解を与える恐れがあります。通信会社各社による最大通信速度のアピールは以前より減ってきたように思いますが、これからもアピールのし過ぎには注意して頂いたいですね。