この内容は「基礎」とするには難しい内容となりますが、「フレッツ光」及び「光コラボ回線(〇〇光)」を利用する方にとって今では必須の知識となっています。
このため基礎ガイドに属する内容として取り扱いたいと思います。
通信速度改善のポイント
■ 通信速度が遅くなる背景
■ 網終端装置が込み合うことで通信速度が遅くなる
■ IPoE方式で混雑するルートを回避
■ IPoE方式はIPv6のみ利用可能
■ VNE事業者例
■ IPv4 over IPv6
通信速度が遅くなる背景
光回線を利用したインターネット接続サービス上で流れるデータ量(データトラヒック)は増加の一途。2015年頃から契約者数の伸びは鈍化しているにもかかわらず、データ量は伸びはこれに反して急激に伸びています。
インターネットを支える裏側のネットワークは無限にデータを取り扱えるわけではありません。その取り扱えるデータ容量には限界があります。この限界を増やすには通信会社はネットワークに投資をして、設備を増強するなどして対応しなければなりません。
網終端装置が込み合うことで通信速度が遅くなる
フレッツ光、及びこれを卸してもらって提供される光コラボ回線は「NGN(フレッツ光ネクスト)」というネットワークによって提供されます。この「NGN(フレッツ光ネクスト)」と「プロバイダー」が接続することでインターネットへつながります。
この接続点にある装置のことを「網終端装置」と呼びます。
この網終端装置が急激に伸びるデータ量で込み合っています。特に、通信の込み合う時間(深夜22時等)の込み具合はさらにひどくなり、大幅な通信品質低下を引き起こします。この通信ルートを通る以上、この網終端装置を通ることを避けることができません。
IPoE方式で混雑するルートを回避
そこで網終端装置を通るルート(以下、ルート①)とします。ルート①を回避する手段を提供し始めたのが「VNE(Virtual Network Enabler)事業者」。
VNE接続事業者はNGN(フレッツ光ネクスト)と網終端装置を経由しないルート(以下、ルート②)で接続するネットワークを構築しました。ここを通れば網終端装置を通ることを回避できるため、通信品質の安定・向上を見込むことができます。
ルート①はPPPoE方式という接続方式で通信することに対して、ルート②はIPoE方式という接続方式で通信します。
IPoE方式はIPv6のみ利用可能
インターネット上の住所は「IPv4」「IPv6」というプロトコルによって規定されています。「IPv4」と「IPv6」の一番の違いは作成できる住所の数。IPv6(約340澗(かん)個)は無限ともいえる住所を作成できるのに対して、IPv4はその数が少なく(約43億個)増え続ける世界中のインターネット接続機器すべてに住所を割り当てることができません。
「IPv4」と「IPv6」は残念ながらまったく別物で互換性がありません。IPv4の通信とIPv6の通信はまったく別の通信となります。
通信ルート②はIPv6にのみ対応。IPv4では通ることができません。通信ルート①はPPPoE接続方式でIPv4とIPv6両方に対応。通信ルート②はIPoE接続方式でIPv6でのみ通信可能。勘違いしてはいけないのは「IPv6 ≠ IPoE」となり、「IPv6=IPoE」ではありません。
通信速度を向上させるにはVNE接続事業者を選びつつ、IPv6を用いたIPoE接続でルート②を通ることが重要です。
残念ながら、通信する先がIPv6を使っているかどうかも重要なポイントです。今はIPv4とIPv6が混在する過渡期。通信する先が必ずIPv6の住所とは限りません。まだまだIPv4を利用しているサービス、ホームページは数多く存在していますので、ここと通信する場合は通信ルート①を通らざるを得ません。
通信先がIPv4なのかIPv6なのかは利用者ではどうすることもできません。通信先の管理者次第となります。
VNE事業者例
具体的なVNE事業者の例がこちら。左側がVNE事業者とそのネットワークの供給を受けているプロバイダーが右側です。VNE事業者=プロバイダーという場合もあります。
VNE事業者以外のネットワークを利用しているプロバイダーでは通信ルート①を選択するしかなく、通信ルート②での通信速度改善は見込むことができません。
フレッツ光、光コラボ回線を利用する場合にはプロバイダー選びがとても重要です。※フレッツ光、光コラボ回線ではない光回線サービスにはこの話は関係ありません。
IPv6 IPoE利用方法
IPv6 IPoEを利用するには「NGN(フレッツ光ネクスト)v6オプションへ申し込み」「ルーターがIPv6/IPoE対応」している必要があります。
「NGN v6オプション」は月額無料ですが、申し込みが必要です。利用者による申し込みがなくても、「プロバイダー/コラボ事業者」がNTT東日本、NTT西日本が代わりに申し込んでいる場合があります。ご自分のサービス契約状況を確認してみてください。
もう一つの条件は「ルーターがIPv6/IPoE対応」であること。IPv6が利用できるだけでは不十分。IPv6、IPoE両方に対応していなければなりません。
上記の条件を満たし、ルーターのIPv6/IPoEを有効化すれば通信ルート②を通ることができるようになります。ルーターの設定方法は利用している機種によって様々なのでご自分のルーターの説明書等をご確認ください。
なお、プロバイダー/光コラボ事業者を乗り換える場合は注意が必要です。v6オプションは特定のプロバイダー、光コラボ事業者と1対1の関係です。乗り換えの際は乗り換え元の紐づけを解約して乗り換え先のプロバイダー/光コラボ事業者と紐づけなおす(申し込み)をしなければなりません。乗り換えの際には先行してv6オプションを解約しておくことをおススメします。この解約のタイミングが悪いと、乗り換え先ですぐにv6オプションが利用できない場合があります。
IPv4 over IPv6
上記でIPv4の通信は通信ルート①を通らざるを得ないと説明しました。
しかし、IPv4通信をIPv6通信とする技術があります。それが「IPv4 over IPv6」と呼ばれる方法でその方式には「MAP-E」「DS-Lite」等があります。これを利用すればIPv4の通信も通信ルート②を通ることができるので、すべての通信で通信品質向上を期待することができます。
この方式はIPv6 IPoE対応プロバイダーすべてが提供しているわけではありません。興味のある方はプロバイダーをチェックしてみましょう。利用方法もあわせてご確認ください。(現在では対応ルーターを利用していれば、月額無料で利用できるプロバイダーもあります。)
IPv4 over IPv6サービス例
■ V6プラス
■ IPoE接続オプション
■ OCN v6 アルファ
■ OCNバーチャルコネクト
■ v6コネクト
■ クロスパス
■ IPv6オプション
■ transix
など
上記は、IPv4 over IPv6を提供するサービス名で基本的な機能は同じです。
ただし、「IPv4 over IPv6」も万能ではなく、一部の通信が利用できません。
IPv4 over IPv6では利用できない通信例
■ 050IP電話
■ 一部オンラインゲーム
■ 固定IPを利用する通信
■ PPTP利用するサービス
■ SCTPを利用するサービス
など
上記の中で困る方が多いのは、「050IP電話」と「一部オンラインゲーム」ではないでしょうか。
050IP電話は、その名の通り「050から始まる電話番号を利用するIP電話サービス」を指します。03~、06~から始まる0AB~J番号を使った「ひかり電話」はこれには該当しません。
PS5/4、Nintendo Switchでプレイできるオンラインゲームも、多くは問題なく通信できるようです。気になる方は、よく利用するオンラインゲームが上記サービスに対応しているかどうか確認してみてください。仮に、実際に使ってみて通信ができなかった場合でも、ルーターの設定で、従来の通信方法(IPv6(IPoE)&IPv4(PPPoE)に戻すことも可能です。
「IPv4 over IPv6」では通信品質の向上を見込むことができるので、対応するプロバイダーを利用中の方はぜひ利用してみてください。